津波対策・水害対策の課題を解決する『浸感弁』
浸感弁は東電設計株式会社(以下「東電設計」)と当社が共同で開発した燃料油等の小型タンク向け緊急遮断弁です。 津波や水害が多発する昨今、対策の必要性を感じながらも従来型のタンク元弁では、
- 手動弁:緊急避難に支障がある
- 電気式:設備が高価すぎる
などのデメリットから導入を先送りにされてきた事業者様も多いのではないでしょうか。

しかしながら近年では消防の立会検査などでも津波や水害への安全対策について示唆されるケースも増えているようです。
浸感弁なら水検知式なので電気も設備も押ボタン操作も不要! ローコストで環境もタンク管理者様の安全も守ることができます!
『浸感弁』のメカニズム
電気を使用せず発火の心配がないため、危険物の近くにも設置が可能です。
- タンクからの配管に浸感弁を設置
- 水害時に給水口から侵入した水を検知
- ダイヤフラムに水圧が作用
- 弁を閉止し流体を遮断

『浸感弁』のスペック
■使用流体: 燃料油―A重油・軽油・灯油・ガソリン(※)
※ガソリンの使用可否については弊社へお問い合わせください。
■流体温度:5~60℃
■使用圧力:1.0MPa未満
■設置環境:屋外水平配管
■特 許:第7604703


『浸感弁』の性能試験
津波試験、ダスト試験をクリアしています。
津波試験:動的な水を検知し、確実に遮断できることを確認 
ダスト試験:ダストが混じった水を検知し、確実に遮断できることを確認 
参考資料
浸感弁のメカニズムや試験の様子を動画でチェック
※当ビデオの著作権は東電設計㈱並びに㈱協成に所属し、許可なく使用を禁じます。
※浸感弁は東電設計株式会社と株式会社協成の登録商標です。
浸感弁のチラシのダウンロードはこちらから
危険物技術保安協会(KHK)で紹介されました
▶津波の水を感知し遮断 「浸感弁」の開発と実装|危険物技術保安協会
| \浸感弁のお問い合わせはこちらまで!/ ガス事業部 松井 TEL: 03(5642)2302 matsui@kyosei.com |
『浸感弁』開発者インタビュー
浸感弁開発の中心となったお二人にインタビューしました。

Q:浸感弁開発のきっかけについて教えてください。
■東日本大震災で発覚した小規模屋外タンクの脆弱性
2011年の東日本大震災では、湾岸域の小規模屋外貯蔵タンクが津波によって転倒・滑動・漂流し、中の石油類が流出する被害がありました。
また豪雨による浸水や河川氾濫が原因で、小規模屋外貯蔵タンクが浮き上がり付属配管が破損して石油類が流出するという被害も増えています。
これを受け消防庁では2020年度から2カ年に渡って「小規模屋外貯蔵タンクの津波・水害による流出等防止に関する調査検討会」が開催され、流出防止工法の開発が推進されることとなりました。(ガス事業部 松井)
■東電設計との出会い
日本に点在する中小の危険物貯蔵タンクは約6万基(2022年消防庁統計)あります。
この対策に2022年頃より取り組んでいたのが今回の共同開発のパートナーとなった東電設計です。
東電設計は2022年6月に「小型危険物貯蔵タンクの津波・水害による流出防止対策方法の開発について<CFRPを用いた面的拘束による危険物タンクの津波・水害対策>」を発表、こちらはタンクが倒壊しないようにするための工法ですが、東日本大震災ではタンクの損傷以上に配管の損傷が多かったため、同社ではさらに配管損傷時の危険物流出対策として緊急遮断弁の開発も進められていました。
そんな中、ガスのバルブ・ガバナのメーカーである当社に遮断弁の構造について相談の声がかかり、共同開発をすることとなりました。(ガス事業部 松井)
Q浸感弁開発で苦労したことはなんですか。
■理想と現実のすり合わせ
開発当初、東電設計からの設計案に対して課題が多く設計案通りの開発が上手く進まないことがありました。
開発進捗の共有を密にし、製販一体となって設計案(理想)と製品化の限度(現実)の摺合わせに尽力しました。(ガス事業部 松井)
■ガス圧を水圧に置き換えるには…?
当社には既存製品でガス用緊急遮断弁がありますが、これはガス圧の上昇を検知してバルブを遮断するものです。
その圧力上昇遮断ユニットを改良してガス圧ではなく水圧で遮断するものを作ろうと研究を始めたのですが、遮断する水圧の水位を特定するのが特に困難でした。最適水位の遮断位置を設定するまでかなりの試行錯誤がありました。(製品企画・基盤技術部 石田)
Q:浸感弁の魅力はなんですか。
燃料油、具体的には、軽油・灯油・A重油まで幅広い流体で使用できることです。また弁体はガス業界で40年程度の実績がありますので安心してご利用いただけます。
加えて、有事の際はバルブを閉める作業を省略できるため、タンク管理者の避難を最優先にすることができます。(ガス事業部 松井)
Q:導入事例について教えてください。
2025年3月日米ユナイテッド株式会社様(屋久島油送所)、2025年4月東京電力パワーグリッド株式会社様(父島発電所)にて試験導入及びモニタリングを開始。問題なく動作していることを確認し現在は量産体制を整えています。(ガス事業部 松井)
Q:今後の展開や課題について教えてください。
■対応する流体を増やす
まずは弁の材質や機構を改良して、他の流体でも使用できるように開発を進めます。具体的には、薬品なども使用できるような材質にすることで活用の幅を広げたいと考えています。
「こんな薬品に対応して欲しい」などの希望があれば、ぜひ当社までお知らせください!(ガス事業部 松井 / 製品企画・基盤技術部 石田)
■カスタマイズ機能追加
浸感弁には他の付帯装置を取り付けることが可能なため、感震ユニット等を開発して、お客様の要望に合ったカスタマイズを可能にすることを目指しています。(ガス事業部 松井 / 製品企画・基盤技術部 石田)
| \浸感弁のお問い合わせはこちらまで!/ ガス事業部 松井 TEL: 03(5642)2302 matsui@kyosei.com |